法定後見制度は「後見」・「保佐」・「補助」の3種類があります。
本人の判断能力に応じてどの類型になるかは異なります。
後見
一人で日常生活を送ることができなかったり、一人で財産管理ができないというように、判断能力がほとんどない方が対象です。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の日常生活に関する行為を除くすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。
例えば、預貯金の管理や不動産等の売買(家庭裁判所の許可が必要です)、遺産分割協議や、施設の入所契約等です。
また本人が行った法律行為を必要に応じて取り消すことができます。
後見が開始すると本人は選挙権を失います。
また、医師や税理士等の資格や、会社の役員、公務員などの地位を失います。
保佐
日常的な買い物程度は一人でできるが、不動産の売買や金銭の賃借等の重要な財産行為は一人ではできないというように、判断能力にかなり衰えがある方が対象です。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、本人は重要な法律行為を単独で行うことはできなくなります。
保佐人は重要な法律行為に同意したり取り消すことができます。
また、保佐人には代理権はないのが原則ですが、申し立てにより特定の法律行為(預貯金の払い戻し、介護契約締結など)について代理したり、重要な法律行為を同意、取り消すことができます。
なお、保佐人に代理権を与える審判をする場合、本人の同意が必要となります。
保佐が開始すると本人は医師や税理士等の資格や、会社の役員、公務員などの地位を失います。
補助
一人で重要な財産行為を適切に行えるか不安があり、本人の利益のために代わりにやってくれる人がいたほうがよいというように、判断能力が不十分な方が対象です。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人は申し立て時に選択した特定の法律行為を代理し、一定の重要な法律行為につき同意や取り消しをします。
補助開始の審判をする場合や、補助人に同意権・代理権を与える審判をする場合、本人の同意が必要となります。